ぼくの友人にAくんという人がいる。
中学時代ぼくが唯一認めた男だ。
そういう身内話に興味無い人はあんまり面白くないかも知れない。
中学時代の彼は大人びていてなんでもそつなくこなすクラスでも頼りにされている人間で周りから浮いているぼくと世間との橋渡し役でもあった。
彼が一度だけ風邪で休んだ日はぼくも早退したくらいだ。
それくらいぼくにはちゃんとした話し相手がいなかった。
彼は絵が上手かった。
キャラクターにしろロボットにしろ正確に引かれた線にぼくは嫉妬した。
ピアノも弾けて、声楽もやっており音楽の授業ではバリトンボイスで周りをあっと言わせていた。
勉強の成績も優秀で日本史マニアのぼくの話に唯一付いてこれるのが彼だった。
褒めすぎかもしれないがそれくらいぼくにとっては大きな存在であった。
ちなみにあまりにもぼくの考えていることを言い当てるので彼には人の考えを読み取る特殊能力があるんじゃないかとか盗聴されてるんじゃないかと中二病のぼくは本気で思ったくらいだ。
ネットでイラストを見るようになってから思うのが女の子とか男の子なんて誰でも描けるということ。
機械を描くのが上手い人こそ絵を描くのが上手いと呼ばれるのに相応しいと思う。
ぼくは彼から送られてきた当時サブカルチャー業界を席巻していた「けいおん!」の秋山澪が半分ロボットになっているイラストの描かれた年賀状を今でも大切に持っている。
それを見る度に彼に絵で褒められたいとか思うのだ。
※ぼくはロボットアニメ好きだけど人を選ぶという意見は強く持っている。だがロボットに対するリスペクトは強く持っている。